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annachoi

二人が保健室を出て行ってから、あ。と唯は思出した。

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二人が保健室を出て行ってから、あ。と唯は思出した。

二人が保健室を出て行ってから、あ。と唯は思出した。

「担任に報告してきますね。本当に大したことじゃなくてよかった…」

雨野がそれに頷く。
そして、椅子から立ち上がろうとした時だった。

「っ!」

「………」

横たわるクロエが、腕を伸ばして唯のシャツの袖をギュッと掴んでいる。

イカナイデ

彼女は何も言わなかったが、揺れる瞳が唯に訴えている。
袖を握る手は微かに振るえてさえいた。

「…わかった、隣にいるから、眠ってろ」

言われて安心したのか、やっと袖から手を放して、唯の方に身体を向けたままクロエはまぶたを閉じた。
それを見ていてた雨野が、あらあらと笑う。

「じゃあ、あたしが坂本には言って来ますね。小日向先生、監視をお願いします♪」

わずかに照れたが、とりあえず頷いた。

「はい。よろしくお願いします」


すっかり静まり返った室内に、眠りに落ちたクロエの小さな寝息だけが聞こえる。
少女が眠れたことで、唯は安堵のため息をついた。
ほんの少しだけ口を開いて、いとけない寝顔を見せるクロエを起こさないように、ごく静かな声で呟いた。

「心配かけやがって…」

クロエの、普段は眉の位置で綺麗に切りそろえられた前髪は、今は少しぱらぱらと乱れている。
躊躇ったが、これもまた起こさないように、そっとそれに触れてみた。
自然に、その手は彼女の頬に滑るように移動する。
体温があることに、なんだかまた安心した。

「ったくあのバカ、生徒の一人や二人が倒れたところで慌てて教師がつとまるかぁー!だって」

雨野の声がして慌ててその手を戻す。

「あ、ごめんなさい、姫園さん眠ってる?起こしちゃうわね…」

小声に変えて雨野が苦笑したので、唯も眉をひそめて微笑んだ。
それから雨野は、はい、と唯に先程クロエに与えたのと同じ、栄養ドリンクを手渡してきた。

「はい?」

「さっきの小日向先生、姫園さんより顔色悪かったわよー?」

どうも、と小瓶をありがたく受け取り、今度は失笑するしかなかった。
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